SUPフィッシングの安全対策

SUPフィッシングの安全対策

SUPの事故が増えています

残念ながら相次いでSUPによる事故が起きています。

○21年9月 福井県 SUPツアー中に漁船と衝突、女性1名死亡

○21年10月 神奈川県茅ケ崎市 SUPヨガ中に漂流、海上保安庁へ救助要請、付近のカヌーが救助

海上保安庁の発表では、事故者数が令和1年32名→令和2年66名と倍に増えています。事故の状況を見ると、経験不足による気象・海況の見誤り、操SUP技能不足が主な事故発生原因のようです。

私もホーム江ノ島でSUPフィッシング中に、アンカーもせずにボード上で眠っている方や、リーシュコードを付けないで漕いでいる方を見かけます。注意できる時はお声をかけていますが、このブログをご覧いただいいる方には、少しでも安全にSUPフィッシングが楽しめるように、私が実行している注意点をまとめておきます。

必ず実行してほしい「5つの事」

SUPフィッシングは気軽に始められて楽しいレジャーです。ただし自然を相手にするため、ひとたび対応を誤れば命に係わる事故やトラブルも起こりえます。そんなの当たり前とお思いかもしれませんが、私が必ず実行している5つの事は以下の通りです。

1)気象・海況の確認

2)自身の存在をアピール

3)ライフジャケットの着用

4)携帯電話・スマートホンの携行

5)漁船などの職業船、出艇場所の近隣への配慮

ひとつづつ解説していきます。


1)気象・海況の確認

◆風・波の影響

海上に浮くSUPは思いのほか風や波の影響をうけます。出艇する前に気象・海況を確認して自身の操SUP技能で安全に帰れるか確認して出艇を判断してください。

◆天気予報アプリの活用

私の場合、2つの天気予報アプリを見比べて確認しています。

・海快晴 https://www.umikaisei.jp/

有料アプリですが、10日間は無料でお試しできます。Yahoo天気などには掲載のない、沿岸や沖合の多数のポイントの予報を確認することができます。特に風速・風向・波高・潮位はSUPフィッシングをするのに欠かせない情報になります。

・Windy iOS版 Android版

無料のまま利用できます。海快晴同様に沿岸や沖合の多数のポイントの予報を確認することができます。海快晴よりもビジュアルが多用され直感的に情報を見ることができます。用途登録?(正確な名称が分かりません)に「釣り」を選ぶと潮位に応じた時合が表示され楽しいです。

釣行の前日と当日に2つのアプリの予報を確認して出発するか否かを判断しています。2つのアプリの予報が両方とも荒天の場合は釣行中止。2つのアプリの予報に乖離がある時は悪い方の予報を見て判断しています。私の場合、風速5m以上、波高1m以上の時は中止します。経験が浅い方は風速3m以上、波高0.5m以上の予報で中止した方が良いでしょう。特に風向がオフショア(陸から海に吹く)の際は、帰還時にパドルを漕いでも漕いでも進まず、最悪陸に戻れなくなります。ご自身の経験・操SUP技術で安全に帰れるか判断してください。

◆フィッシング中も常に気象・海況・体調に気を配る

ただし予報はあくまで予報です。海況は刻々と変化していきます。白波が立つような風が吹いてきたり、遠くで雷が鳴るような場合は、予報を過信せずいつでも岸に帰れるポイントまで引き返しましょう。

体力の配分も考慮してください。私は往路1/3、復路2/3の体力配分を心がけています。行きはワクワクしてパドル漕ぎもはかどりますが、日光を浴びたり、釣りで体力を消耗すると思いのほか復路はしんどいものです。十分な体力を残して帰路につくようにしてください。


2)自身の存在をアピール

大海原でSUPは漂う木の葉の様なものです。特にフィッシング中はボードやクーラーボックスに座っている事も多く、高さがない分他船から見つかりづらいです。積極的に他船の進路から外れるようにする事はもちろん、相手に早くから自身の存在に気付いてもらえる様にしましょう。

◆フラッグを掲げる

カヤックやカヌー用に「セーフティフラッグ」が売られています。器用な方は100円ショップなどで赤い生地を買ってきてフラッグを自作する方もいらっしゃいます。フラッグを「携帯用旗ポール」や使わなくなった投げ竿などにくくり付けてなるべく高く掲げます。できれば2m以上。ポールはロッドホルダに挿して固定するといいでしょう。

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◆目立つ服装にする

キャップやハットに目立つ色を選びましょう。男性用では黒やブラウンなど暗い色しか選べない事が多いですが、女性用に目を向けるとピンクやオレンジなど明るく目立つ色が選べます。女性用でも頭のサイズと合っていれば男性が着用しても何の問題もありません。ちなみに私は女性用のオレンジ色のハットを愛用しています。

ラッシュガードなども目立つ色を選びましょう。海の色に溶け込む暗い色ではなく、蛍光色や白など明るい色を選びましょう。


3)ライフジャケットの着用

◆ジャケットの選び方

SUPフィッシングでは落水することを前提に装備を考えてください。装備の中でもライフジャケットは特に重要です。落水しても浮いていられるので、再乗艇が難しい時も仲間に助けを求めたり、万が一漂流してしまっても電話で海保に救助を求めることもできます。いろいろなタイプがありますが、私は「フローティングベスト」と呼ばれる何もしなくてむ浮くタイプを友人にはおススメしています。釣り用のものでポケットがたくさん付いているものがありますが、便利な反面ポケットにモノが詰まっていると再乗艇の時に邪魔になり、SUPに上がるのが難しくなる可能性があります。ポケットにモノを入れるのは程々にしましょう。

それから膨張式のものはおススメしません。SUPフィッシングでは波で水しぶきを被ることも多く、自動膨張式のものが意図せず勝手に膨らんでしまったり、手が濡れて膨張用ハンドルが滑って引けない事もあります。何よりボンベの交換などメンテナンスが面倒です。


4)携帯電話・スマートホンの携行

◆スマホを持つメリット

防水ケースに入れるなど防水対策を施して携行します。ストラップで首から提げたり、専用ホルダーで腕に固定するなど、落水・転覆しても体から離れないようにしてください。仲間との連絡はもちろん、緊急時の連絡手段を確保するようにします。GPS機能のある端末から海保(118番)に連絡するとGPS位置情報が自動通知され迅速で的確な対策をとることができます。

ほかにもGoogleMapで釣果のあったポイントを記録したり、海図アプリでは魚探がなくても今浮いている地点の水深が分かるので、情報を活用すれば釣果アップにもつながります。魚探の機種によっては魚影の表示をスマホの画面で見るタイプの機種もあり、SUPフィッシングでスマホは必携です。

◆Apple Watchも役立つ

私はiPhoneに加えApple Watchを活用しています。「Paddle Logger」というアプリを導入すると無料の状態でもマップ上に航跡が残せたり、移動した距離が分かります。Apple純正の「フィットネス」アプリと連携するので、消費カロリーや心拍数の情報も残り、SUPをエクササイズとして取り入れている方に役立つ情報も取れます。

https://paddlelogger.com/

◆バッテリーの消耗に注意

GPS関連のアプリを稼働するとバッテリ消耗が早くなります。バッテリ残量にはくれぐれも注意して緊急連絡用の電源は常に確保するように運用してください。


5)漁船などの職業船、出艇場所の近隣への配慮

海はみんなのものですが、利用の仕方には法律やルール、マナーがあります。「知らなかった」では済まされない事もありますので、釣行前に確認するようにしてください。ほとんどの事はネットで調べられますが、わからない事はSNSなどを通じてローカルのSUPアングラーに尋ねてみるのも手です。意外と親切に教えてくれますよ。

◆遊漁に関するルール

私がホームとしている神奈川県では、遊漁者の船釣りに関するルールが地域ごと設けられています。釣行の際は使用しようとする餌や釣具が地域のルールに則したものであるかを確認してください。詳しくは県のHPに掲載されていますのでご覧ください。いくつかルールを紹介します。

・オキアミ撒き餌の禁止

・撒き餌カゴのサイズ上限

トローリング禁止(SUPでルアーを曳いての釣りは禁止です)

・定置網の保護区域内での釣り禁止

定置網の情報は海図アプリや海保のHPで確認できます。秋→冬→春にかけては「わかめ」などの海藻を養殖する網が設置されるところも多くあります。夏季になかったブイが突然出現している事もあります。沖でブイを見つけたら近づかない様にしましょう。

◆職業船に近づかない

遊漁船を含む漁船や、土木作業船、運搬船など、沖に浮かんでいると様々な船を見かけます。彼らは海のプロで海のルールに則ってお仕事をされています。例えば形象物という自船の作業内容を他船に知らせるサインがあります。私も含め船舶免許を持たないで海に出ている人には気づかない事です。そういったサインを掲げている船に迂闊に近づいて作業の邪魔をしてしまったり、機材を壊してしまったり、相手にケガをさせたり自分がケガをしたり、良いことは何もありません。

◆出艇場所近隣への配慮

迷惑駐車、私有地や禁止区域への立ち入り、ゴミの放置、これらは違法行為でSUPフィッシング以前の問題です。このサイトに来訪してくださった方にその様な方はいないと思いますが、絶対にしないでください。

他にも早朝に大声で騒いだり、電動エアポンプを使って騒音をまき散らしたり、忘れてしまったのか釣った魚を置き去りにしたり、近隣の方から迷惑しているとの声を聞く事があります。こちらはフィールドをお借りしている立場、近隣の方への配慮を忘れないようにしましょう。


お断り

正確で最新の情報を掲載できるように注意したつもりですが、誤った情報・古い情報がありましたら、問い合わせフォームなどから、是非ご指摘ください。ご意見もお待ちしております。

これからSUPやSUPフィッシングを始める方には、サーフショップやインストラクターなど、プロの指導者からレッスンを受けられることを強くおススメします。

皆様のSUPフィッシングが安全で楽しく、近隣の方々からも歓迎されるものであることを願っています。

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